大判写真に関する書物

 以前から大判カメラや写真に関する本の紹介がしてほしいと、多くの方々からお問い合わせをいただいていました。
実際のところ、これだと言えるような決定版に今のところお目にかかったことはなく、複数の本を総合して自分なりの解釈で理解を深めていくことしか無いように思えます。

大判に関しての書物は他のものに比べるとひじょうに出版数が少なく、大規模書店でもあまり見かけないのが現実で、新刊ものに関してはほとんど皆無と言ってもよいでしよう。
私が知るかぎりでは、最も新しい大判の本は、ワイズクリエイトが独自に出している「大判カメラマニュアル」で、2008年の初版である。

「アンセル・アダムズの写真術 The CAMERA」
大判に限定せず小型カメラから大判までを幅広く解説し、写真とイラストで解りやすくしかもかなり奥深いところまで説明している、Ansel Adams The CAMERAという本は1995年に梅澤篤之介氏により日本語に翻訳されて岩崎美術社から出版されたが、定価7,000円と本としては大変高額で、1993年発行の玉田勇氏による「大判写真入門」写真工業出版社の2倍以上の値段で、私もはじめて本屋で手に取ったときは買うことに躊躇していた。
しかし、「Ansel Adams The CAMERA」日本語翻訳版「アンセル・アダムズの写真術 The CAMERA」は200ページと比較的薄い本ではあるが、内容はひじょうに濃く全てのカメラに対するバイブル的存在ではないかと思う。
特に、序文の内容が今のプロ、アマを含めた全ての写真愛好家達にとって忘れかけていたことがそのままずばり指摘されていることが印象的で、この本をめくったときから写真に対する姿勢が変わってしまうほど影響力の大きな一冊です。
先日、ネットで調べたところ、この「アンセル・アダムズの写真術 The CAMERA」がネットオークションで15,000円で落札された記事を目にしました。
正直言ってあの時買って置いてよかったと思いました。
この日本語翻訳版「アンセル・アダムズの写真術 」は全部で、ザ・カメラ ザ・ネガティブ ザ・プリントと3種類があり、私はザ・ネガティブも持っていますが、今どこに入り込んでしまっているのか解らず捜索中です。
「ザ・ネガティブ」では「Ansel Adams」が考案したとされている「ゾーンシステム」について詳しく解説がなされ、完璧なネガやポジを作る為のバイブルになっています。

 


玉田勇氏による「大判写真入門」写真工業出版社
この本はアンセル・アダムズの写真術とは違い、大判のみに特化した内容になっている、当時の大判に使用されているあらゆる物が紹介されているだけでなく、具体的なカメラの手順までもが詳細に書かれている。
尚、この本の中でもアンセル・アダムズの「ゾーンシステム」が少し紹介されているが、やはり本家のほうが詳しい内容になっている。
本の内容も大変見やすく具体的な内容の構成になっていて、おもしろいところは実技編の所で、人気のあるカメラや人気のあるレンズ、実際に多く使われているレンズ等アンケートにもとずく結果の解析がなされているところがあり、ひじょうに興味を引かれます。

    
  


(株)ワイズクリエイト「大判カメラマニュアル」
この本は私が持っている本の中では一番新しく発行されたもので、2008年初版になります。
おどろくことにA4サイズで160ページ全てがカラーで、写真やイラストが多く、具体的なカメラでの写真による操作手順やフィルムホルダーの使い方から露出計の使い方まで、他の書物とは一線を画す内容になっています。
ただ、内容の構成に少しみずらい点があり順序を見直せば素晴らしい大判カメラマニュアルになると思うのですが・・・
大判カメラの基本操作に関してはこの本一冊で十分理解できるもので、後は応用力の問題だけと思います。

       


「白旗史郎の山岳写真撮影テクニック」山と渓谷社
1999年に初版され多くの山岳写真愛好家に今も尚親しまれている山岳写真の教科書のようなものです。
山岳写真の原則から始まり、使用する機材から構図、各表現方法まで事細かく山岳写真の魅力を引き出す為のテクニックがカラー写真を中心に具体例をあげながら余すことなく書かれています。
アオリの効果では、具体的な写真を例に図によりムーブメントの例をあげ実戦的に学ぶことができます。
使用されている写真はド派手でインパクトのあるものではありませんが、個人的には派手な山岳写真より白旗史郎氏の写真のほうがインパクトの強さを感じます。

       


                                   

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