さて次は、「Linhof MASTER TECHNIKA 2000」です。
                       


あえて私が説明するまでもないと思いますが、多くの方が持っているTECHNIKAはクラシックタイプといわれるものが多く、本体右横に連動距離計付きのタイプと付いていないタイプが多いと思います。
連動距離計が付いていないタイプのTECHNIKAは外見上2000とほとんど変わりませんが、2000では新しくワイドアングルトラックと言う機能が加わりました。
このワイドアングルトラックは広角レンズを使用した場合フロント支柱がフォーカシングトラックまで引き出すことができないときカメラボディー内のワイドアングルトラック上でフォーカシングレバーを左右に動かしながらピントを合わせるという機能で、特に風景写真の広角レンズをよく使うときにはたいへん便利な機能です。
                      

外見は非常に頑丈に見えますし、各パーツの作りもほとんどがアルミの削り出しでたいへん頑丈そうに見えます。
フォーカシングフードが付きレボルビング機能や最大蛇腹延長が430oで重量がカタログデーターでは2.48sと軽量で、蓋を閉めては箱型にすると「HORSEMAN 45HD」とさほど変わらぬ大きさになります。
                      

各ムーブメントの動きは、たいへん滑らかでそれでいてほど良いテンションがあり各ロックもスイングバックロックノブを除きレバーもしくはスイッチになっていてたいへん使いやすくなっています。
いちぶでバックアオリをするときにバック部が4本の細い丸棒で支えられているために細かなアオリの調整がしずらいといわれていますが、これまでアオリの練習時には全く使いずらさは感じられませんでした。
それどころか4つのスイングバックロックノブの締め具合の調整によりティルト、スイングのアオリの調整がたいへん楽に行えるように思います。
                      

ライズの操作はフロントリフトレバーがラチェットになっていて頭を180度回すことによりアップとダウンの切り替えができ、ロックは付いていませんがアップした状態で上から手で下に押さえつけてもびくともしません。
ティルト操作は、下の写真の反対側にあるダイヤルを緩め手前のダイヤルの丸いスイッチを押し込むとロックが外れて動かすことができます。
このティルト機能に付いているガイドが大戦時の名銃「ルガーP08」のトグルによく似た構造になっていてドイツらしさを感じます。
                      

フロントスイングロックやフロントシフトロックレバーも左右に振り分けられ手袋をした状態でも問題なく確実にロックができます。
使用説明書には、フロント支柱の引き出し方法としてフォーカシングトラックをボディー側に押し込んでからフロント支柱引き出しグリップを押しながら引き出すことになっていますが、蓋を開けた状態でも十分にスムーズに引き出すことができましたが、各パーツの座面を傷つけないためにもフォーカシングトラックをボディー側に押し込んでからフロント支柱を引き出したほうが良いかもしれません。
                      

「HORSEMAN 45HD」には搭載されていないレボルビング機能も搭載されている。
「HORSEMAN 45HD」では縦横のフーマットの切り替えは、バック部を取り外して縦横を差し替えるようになっているが、「Linhof MASTER TECHNIKA 」ではスイッチを押してロックを解除するとバック部が360度回転し90度ごとにクリックストッパーが付いていてすばやく安全に縦横の切り替えができる。
                      

使用できるレンズの焦点距離は、最大フランジバックが約430oもあり、Fujinon Tele-Type 1:12/600o フランジバック383.9oがよゆうで使用できる。
それに対して「HORSEMAN 45HD」は最大フランジバックが約250o、凸レンズボードを使用しても、Tele-Type 1:8/400oが限界です。
                      

蛇腹を最大に近い状態まで伸ばしても、三脚取り付け穴が蓋の中央に付いているので、カメラ自身のバランスがとりやすい。
                      

又、私の場合各稼動部に付いていた油が低温時に硬くなり動きがかなり困難になったため、各可動部分に付いている油を拭取り、使用温度範囲-25℃〜+120℃のリチューム石けん基グリースを塗りなおして、-20℃の条件でもスムーズに操作できるようしました。
ここで注意が必要な事は、トラック部など非常に精密に加工されている部分に使用する油又はグリースは、粘度の低いものを絶対に使用しないことです。
現在低温使用のグリースにはシリコン系の物が多く、これらの物をトラックなどに使用した場合トラックレールが食付く恐れがあります。
グリースの入れ替えなどをする場合には、油洗浄剤や有機溶剤を使用しての洗浄は絶対に避け、必ず古いグリースを完全に拭取らず滑らかに稼動する状態でグリースアップを行なってください。


                                           

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