4×5 大判カメラの種類


4×5大判カメラは2つに大きく分けられると思います、1つはビューカメラと言われる物で、モノレールに前枠と後枠をアオリ機能を持ったマウントと、前枠と後枠を蛇腹でつないだカメラです。
特徴としては、アオリの量の自由度が高くモノレールを継ぎ足す事によりフランジバックを稼ぐこともでき、各パーツの交換も自由にできて小物撮影から風景まで万能に使う事ができます。
しかし、収納スペースが後で説明するフィールドカメラに比べ大きく、各構造部が剥き出しになっている物が多い為大きくなり、カメラ重量も重くなるものが多いです。

もう1つは、折りたたむとたいへんコンパクトになり、比較的軽量に作られているフィールドカメラと呼ばれている物があります。
このカメラの最大の特徴は、屋外へ持ち出す事が容易で特にバックやザックの中にさほど気にせず入れて持ち運ぶ事ができる事だと思います。
ただし、
ビューカメラほどのアオリの自由度はありませんし、フランジバックの量も長くはありません。

又、この二つの特徴を備えたカメラもあります、
ビューカメラなみのアオリの量を確保しつつフィールドカメラなみのコンパクトなLinhof TECHNIKA S45 最大蛇腹伸長 340mmとフィールドカメラなみになりますが、蛇腹を外して折りたたむとたいへんコンパクトになります。


                   
大判写真に必要な物たち


カメラ
大判写真にかぎらず、写真を撮る為には最低限カメラ本体とレンズ、フィルム又はそれに変わる感光板が必要になる事は言うまでもありませんが、カメラ1つ取っても様々なタイプの物や様々な材質でできたカメラがあります。
現在多くカメラに使われている材質を分けると、カメラという物がこの世に発明されたころから使用され続けている木製、世の中の工業が進歩し、木の代わりに精度の高い金属で作られた物と、大きく二つに分けることができると思います。
では、木製のカメラと金属製カメラとどちらが良いカメラなのか? 私はどちらも良いカメラではないかと思います。
又、よくこれから写真を始めたいという人から、初心者でも簡単に使うことのできるカメラはどのカメラですか? などと聞かれることもありますが、写真が写る原理を知っていて自分がこれから何を撮りたいのかが解っていれば、人に聞かなくてもカタログなどにのっているデーターを見れば自ずと自分にとってどのカメラが一番適しているかが解ると思います。
とは言っても、全くカメラをこれまでいじった事のない人が世の中に出回っている多くのカメラから自分に合ったカメラを選び抜く事はたいへん難しい事でしょう。
そこで、各カメラのメリット、デメリットを私なりにご説明させていただきたいと思います。

 1. 木製暗箱タイプカメラ
このカメラの特徴としては、金属性カメラに比べると比較的軽く、カメラ職人の手によって一台一台時間をかけて作られた精密木工製品です。
ただし、使用している材料の木やその木がどのような癖取加工がされていたかにより、製作時の精度がいつまで保たれるのかが大きく変わると思いますし、作る職人さんの経験や技量によっても大きく変わることがあると考えます。
このタイプのカメラの材料には、黒檀を使用している物やチェリーウッドなどが使用されているものが多く、何年も乾燥させその後おがこで燻したりして長い年月を経てもひずみが出ないようにしている物もあり大変様々です。
この事からも、木製カメラにとって使用されている材料がいかに重要かがお解かりになると思います。
それから木製カメラの中には現在一般的に使われている金属性フィールドカメラにあまり見かけない、バック部のフォール、ライズ、シフトのアオリを備えたものもあり、大判カメラの最大のメリットの1つであるアオリの自由度が大きいものもあります。
これまでの説明でもお解かりになると思いますが、お店によっては初心者には木製カメラから始めた方がいいなどと、いかにも木製カメラが初心者向きで簡単なように言われる店員がいますが、決してそのような事は無いと思います。
それよりか木製カメラの取り扱いや保管の仕方などを考えると、かなり高度なカメラではないでしょうか。

 2. 金属製フィールドカメラ、ビューカメラ
木製のカメラに比べ使用材料の湿気などによるひずみや精度をあまり気にする必要も無く、長期間高い精度で使用でき持ち運びのさいの外部からの加重にも比較的信頼性がおけるカメラです。
各パーツも大変精度の高い工作機械で加工されていて、均一な品質が保たれ一部のパーツがへたってもそのパーツを交換する事によりわずかな調整により元に戻すこともできる大変信頼性の高いカメラだと思います。
ビュータイプのカメラは前頁でも書きましたとおり、各アオリの自由度がありあらゆる被写体において最もてきしたアオリが無理なく素早くできるような構造になっています。
それに対して、フィールドタイプは一部のアオリを擬勢にして携帯性を重視した作りになっています。
このタイプのカメラの多くは、折りたたむと箱のような形になるものが多く、バックやザックに入れて持ち運ぶには大変適している事から風景写真や山岳写真を撮る人達が多く使われています。
このカメラも様々なメーカーから大変バリエーションにとんだカメラが出ていて、メーカーやカメラによって様々な構造の物が多く  出ています。

では、自分はどんなカメラを手に入れたらよいのか? 正直言ってそれは使ってみない事には解りません ! それに始めはそのカメラで十分満足していたが、自分のスキルが上がるにつれ例えばもっと長いレンズが取り付けることができるカメラがほしいとか、もっと広角レンズが使いやすいカメラがほしくなるなど、今もっているカメラでは限界を感じる事があります。
少しでも長くそのカメラを使う為にも、私からカメラ選びのご提案をしてみます。
あくまでもご提案という事ですので、それによる苦情クレーム等等一切私は責任を持ちませんのでご了承下さい。

まず始めに自分の使いたいレンズの焦点距離を見付けます、とは言ってもこれまで135や中判を長くやられていた人にとって4×5の102×127oフィルムサイズに対する焦点距離の対比が分からないと思います。
下の表がおおよその135と4×5との対照焦点距離です。

表-1
135判焦点距離 4×5判焦点距離
広角 28o 90o
標準 50o 150o
中焦点 80o 210o
長焦点 150o 600o

135判で50oの画角を得るには4×5判では150o相当になります。
例えば135判で150o相当と同じ画角にしようとしたら、4×5判で600o相当の焦点距離になりますのでFUJINON C 1:11.5 600のフランジバックが573.0oですからそれ以上のフランジバックを持ったカメラが必要になります。
又、大判レンズの中にはフランジバックを短く設計された望遠タイプのレンズもあります、同じFUJINONのT 1:12 600では、フランジバックが383.9oと67パーセントと短いレンズがあります。
使用したいレンズが決まったら、そのレンズのフランジバックより長めのフランジバックを持つカメラを選べば良い事になります。
そして、広角レンズの場合は例えば90oのレンズを使用したければ、FUJINON SW 1:8 90のフランジバックが99.2oですのでカメラの最短フランジバックがそれより短いカメラを選べば良い事になります。
カメラによっては最短フランジバックが使用レンズのフランジバックより短くても、アオリをしたときに蛇腹が邪魔になり使いずらかったり、ピント合わせがわずらわしい物もありますので注意が必要です。
山岳写真のようにカメラ機材一式をザックに入れて長時間歩く時などは、できるかぎり軽くて頑丈な物を選ぶ必要も有りますが、軽量と頑丈は反比例します、カメラ自体の重量の限界を決めてカタログデーターの重量を参考に選ぶ必要があります。
屋外が中心で使用する場合夏場などは問題なくても、手先がかじかんでしまうような寒い所で使用する場合は各ムーブメントの調整ノブやダイヤルなどが手袋をしたまま使いやすいかどうかもカメラを選ぶときのポイントに入れておくと良いと思います。


                                             

  
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