デジタルカメラなんて !

「デジタルカメラなんて所詮CGで、機械によって作られた絵に過ぎない。 1+1が2と言うように規則的な物で、そこには写真本来の複雑で繊細な表現は無い。」
これまで私はそう思っていました。
しかし昨年秋、手軽な記録用としてPanasonic Lumix FZ28を購入。
大判と一緒に剣へ持って行き、待ちの間にFZ28で色々撮ってみました。
案の定、同じロケーションで撮影した大判とデジタルとでは比べるまでも無く、全く使い物にならないひどいできでがっかりさせられました。
がしかし、せっかく撮ってきたのだから少しでも見栄えのするようにならないものかと思い、ファイルがRAWだったのでカメラに付属の
SILKYPIX Developer Studio 3.0 SEソフトで大判のポジを見ながら色々なパラメーターを触りながら現像してみました。
するとどうでしょう ! 始めに適当にRAW現像した物に比べてかなりいい感じに仕上がって、ある程度満足のいく物を作る事ができ、PCモニターで観賞する分には十分なできになりました。
でもやはりフィルム(リバーサル)に比べるとダイナミックレンジ(ブルーミング)などに非常に物足りなさがあり、コントラストの幅の狭さや、濃淡の段階的な推移(グラデーション)の階調が貧困な事にはがっかりです。
ダイナミックレンジ等に関しては画像処理エンジンよるカメラ側の差が大きいと考えられますが、グラデーションの階調の差は画像素子の大きさの影響が大きく、FZ28の1/2.33型CCDに総画素数1070万画素と非常に小さく、1画素当たりが受ける光の量が極めて少ないので、これを改善するにはやはり同じ画素数でCCDのサイズを大きくしてやるしかない。
だが、この階調に関しては、使用しているPCのグラフィックカードやモニターによるところの影響も大きく、例えば大判フィルムのポジをスキャナーで取り込んでPCモニターに表示させても、ポジフィルムとは比べ物にならないほど
階調が低下してしまい、目的がPCモニターで観賞するという条件であれば、フィルムよりデジタルの方が同じ程度の画質であれば手軽に作れる事になる。
プリントに関しては、もはや言うまでも無いと思う。

ここで改めて私が書くまでも無いと思うが、同じサイズの画像素子で、画素数が多ければ多いほど階調が悪くなる事はデジカメをやられている人は皆さんご存知の事なのに、ではなぜデジタルカメラはどんどん画素数が増えていくのでしょうか ?
おそらく、ハード的な事も申ことながら画像処理エンジンの進歩によりソフトでダイナミックレンジを含めて階調の問題も一定のレベルまできたからではないでしょうか。
確かに昨年末に発売になった有効画素数24.5メガピクセルのニコンD3Xのサンプルを色々見ても、有効画素数12.1メガピクセルのニコンD3と比べて(同じ表示の大きさで)見ても、解像度などは比べ物にならないくらいの非常に高解像度です。
が、事階調に関しては若干劣っていますしD3の方が優れている事も多くあります。。

今のデジタル人間達は、ネット上やデジタル印刷されたCG等しか見たことがないんでしよう。
色々な所で、デジタルカメラの話題で「○○のカメラの色が良い」「○○のカメラは最新のテクノロジーだから良い写真が撮れる」などと言うような事をよく見かけり耳にしたりします。

昨年末に購入したキャノンEOS Kiss X2 も同じくRAW現像の時、撮影時に自分が見た時と同じ色や雰囲気を出す為に、色々試してみたものの、元になるデーターの階調などが全く足らない為、現場で自分のイメージした物にはなりませんでした。
その時、自分の中で、デジタルをフィルムと同じように考えている自分が間違っているときずきました。
自分の目がCGを見る目になっていない、自分の頭が今のデジタル的な考え物の見方とはかけ離れた次元でいると思いました。
フィルムで撮られた写真と、デジタルのCGとでは全く違った次元の物、そう考えるようになってから、なぜかデジタルカメラで撮る事が面白く思えてきました。
これまで30数年、相棒のカメラと一緒に過ごしてきた中でデジタルカメラとの出会いは私にとってたいへんショッキングな事でした。
何の知識もない人でもシャッターを押すだけで一見見たままの物が映し出され、それを意のままに加工してプリントしたり表示させたりできる、ネット上ではそれを勘違いして機械に撮ってもらった物を、いかにも自分の腕のように自慢する。
知識だけは多く持っているが、見栄えばかりを気にして本来の写真の魅力を解っていない。
それが現代のデジタル人間だと言ってしまえばそれまでだが・・・

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