被写界深度、焦点深度、過焦点距離、許容錯乱円

全てのコンテンツに関して言える事ですが、特にこの項目に関してはモニターの解像度やモニターを見るときの距離、個々の視力によって見え方が違ってきますのでご了承下さい。
被写界深度、焦点深度、過焦点距離、許容錯乱円、なにやら難しそうな漢字が並んでいますが、この4つは写真のピント、特に立体感にとって大変重要な要素と私は考えています。
よく、写真に関する本等では被写体の立体感の表現方法として被写体に当る光源の位置関係を重視していますが、実際のフィールドでは影による立体感だけでは十分に表現できない場合のみならずフラットなライティングの条件下での立体的な表現が必要になる事の方が多く、「ボケ」による立体感の表現が不可欠と考えています。

下の図は3次元の球体を2次元に表現した時の例です。

1の写真は白色をバックに白い球体を置いた時、影のみで表現した場合です。
 球体と言われればそうも見えなくもないですが、立体的とは言いがたい状態です。

2の写真は、1の球体とバックに規則的な縦と横のラインを付けてみました。
 1のときに比べると非常に立体感が表現されるようになりましたが、写真を撮影するフィールドにおいて人工物以外にはこうした規則的なライン又は模様はほとんど無く、これをそのままフィールドに当てはめる事には無理があります。

3は不規則な模様を付けてみました。
 影が無い状態では、不規則な模様の付いた一枚の紙にしか見えませんね。

3に影を付け加えたのが4です。
 3に比べると立体感は増しましたが、まだ弱い印象ですね。

5は、3にピントの差によるボケ深を加えました。
 これも3よりかは立体感が出たように思えますが、まだ弱いですね。

そこで4と5を足した物が7で、比較しやすくする為、4と並べ分かり易いように少し拡大しています。
 7は6に比べ更に立体感が増し、6の場合は出っ張りのような印象に過ぎませんでしたが、7は球体が浮いているようにさえも見えます。

私は、「写真のピントは許容錯乱円である。」と定義しています。
写真は、私達が日頃目にしている3次元空間を平たい2次元空間に置き換えて観賞する媒体です。
その2次元空間の中にいかにして3次元の空間を表現したらよいのか? 
それらを含めた2次元空間のリアリティーの表現手法の一つとして、「被写界深度」「焦点深度」「過焦点距離」いわゆる「許容錯乱円」のコントロールが重要な役割を居なっていると思います。


                                         

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