被写界深度、焦点深度、過焦点距離、許容錯乱円、Part 2


写真の基礎から学んだ人は「許容錯乱円」に関しては十分理解され、フィルムのサイズや写真の最終仕上がりでの大きさを加味した許容錯乱円を前提に「レンズの焦点距離」「絞り値」「撮影距離」等を選んでいる事と思いますが、一般的に多くの人は「許容錯乱円」をあまり気にしている人はいない様に思います。
主体になる被写体がシャープに写りそれ以外の物はボケていればそれで立体感は十分に表現できていると思っている人がほとんどではないでしょうか?

下の図形は画面中央に木が4本重なるように写っています。
この4本の木を一つのオブジェクトとして見た場合、バックはアウトホーカスにしてボケさせ4本の木にピントが合うようにした状態が2の絵になります。
                
この状態では4本の木全てが許容錯乱円内に収まるようにしたもので、4本の木の位置関係は木の重なり具合で判断でき、バックのボケにより立体的な絵になったとしてしまっている事が多いと思いますが、はたして本当に4本の木の立体感がこれで表現できているのでしょうか?

下の絵は、2の一部分を切り出して、4本の木の中の中央2本のみに許容錯乱円が入るように狭くしたものです。
                
3は2をそのまま切り出した為、木の重なり具合だけで立体感を表現しているに対して、4は手前と遠くに有る2本の木がボケている為、奥行きのある絵になっています。
更に4の絵を大きさを変えたものが下の絵です。
                
上の絵にマウスをポイントすると各絵の真中に緑色で示しているのが「許容錯乱円」です。
画面が小さくなるにしたがって「許容錯乱円」が広くなっていくのが解ると思います。
したがいまして「許容錯乱円」は決まった定数ではなく、状況によって様々に大きさを変えると私は解釈しています。

許容錯乱円の径の大きさを変化させ自由にコントロールする為に、被写体までの距離やレンズの焦点距離や絞り、そしてなりより重要になるのは写真の完成状態の大きさだと考えています。

許容錯乱円範囲をコントロールする上で、焦点距離、絞り値(F値)、撮影距離、像の大きさ等が大きく関係しており、これから撮影しようとしている物に対して、写真の最終完成状態を見据えた焦点距離、絞り値(F値)、撮影距離、像の大きさを的確に判断して決定する必要があると思います。

                                 

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