アオリの基本的な特徴は前頁で説明しましたが、一般的にアオリのみで全ての被写体にピントを合わすことは不可能です。
ピント面は一枚の板状になっており、アオリによってその板を自由に傾けたりしてピントを調整します。
ピント面=フィルム面 と言う考え方が解りやすいかもしれません。
自然界において被写体全てがピント面上に有るとはかぎりません。
遠景と近景までの2点は一本のラインで結ぶ事ができますが、中景に有る被写体がそのライン上に有るとはかぎらないからです。
アオリを使った場合でも、レンズの絞りによる被写界深度と組み合わせてピントをコントロールしなければなりません。
例えば、遠景に高い山があり近景に低い岩、中景は深くえぐれた谷になったロケーションをパンホーカスで撮影するには、遠景の山の頂上と近景の低い岩にアオリでピントを合わせただけでは、中景の谷ではピントが合いません。
いわゆる中ボケと言われるものです。
山の頂上と近景の低い岩にアオリでピントを合わせ、絞りを絞っても焦点距離の長い大判では中景まで完全にピントを持っていく事が大変困難になります。
その場合は、アオリによるピント面を遠景の山の頂上より低い所に持っていき、